課題
解決
導入経緯
食のサブスクリプションサービスを展開するオイシックス・ラ・大地様は、2024年1月に冷凍専用の物流拠点「ORD厚木冷凍ステーション」を新たに開設しました。
ここでは、EC食品宅配サービス“Oisix”で提供する、すべての冷凍商品、約700SKUを取り扱っています。
家庭における冷凍商品の需要はここ数年で急激に増加し、それに伴い物流量も大幅に増加しました。以前の冷凍センターでは、作業の多くを人手に頼っており、出荷量の増加に合わせて人員をふやさざるを得ませんでした。しかし、その対応方法には限界があり、作業者の熟練度のばらつきも大きく生産性にも波がある状態。現場では「人を増やせば解決する」という考え方からの脱却が求められていました。
このような課題を解決するため、マテハンをフル活用し、ピッキングから梱包までの主要業務を自動化するソリューションが導入されました。
運用・オペレーション紹介
このセンターは、1階に入出荷エリアを設け、その奥にピッキングラインと梱包ラインを左右に振り分けて配置することで、出荷機能を集中させています。3階と4階は在庫保管エリアとなっており、3階に設置された2種類の自動倉庫を活用して、最適なタイミングで商品を1階へと搬送しています。
では、実際の作業の流れをご説明します。
トラックで運ばれてきた冷凍商品は、まず1階の入荷バースで検品された後、マイナス20℃の冷凍庫に一時保管されます。ピッキングラインでは「SPD」を採用。作業者が棚からピッキングした商品を循環箱に投入する仕組みです。高頻度商品の棚は作業者の背面に設置された冷凍フローラック、低頻度商品の棚は冷凍ショーケースが配置され、これらの棚への補充は、いずれも前日に行われます。
高頻度商品は、ピッキング時に商品が取り出しやすいように、段ボールの天面を事前にカットし、バーコードを読み取った後、自動倉庫システム「SAS」へと搬送され一時保管。夕方の作業終了後に補充棚が空に近づいたタイミングでSAS内のシャトルカーやリフタが高速で動き、翌日の作業分の商品が3階から出庫されます。フロアの移動は、狭いスペースでも上下搬送が可能な「スパイラルベヤ」を活用して1階へ搬送され、冷凍フローラックへの背面から自動で補充されます。商品は補充ビークルにより指定されたロケーションへと順次補充されていきます。これにより、冷凍環境で人が数時間かけて行っていた作業を自動化することで、省人化と労働負荷の軽減が実現しました。
高頻度商品のピッキングでは作業スピードが求められますが、背面の棚から商品を取り出すことで歩行距離を抑え、効率的な作業が可能になっています。
さらに、「自動投入システム」によって、ピッキングした商品をコンベヤに乗せると、自動で重量検品され順次コンベヤ上の商品が横へ移動していきます。該当する循環箱が近づくと自動的に商品が投入される仕組みにより、作業者が先行して余裕を持った作業を行うことができ、入れ間違いの抑止につながり、高い生産品質を実現しています。
一方、低頻度商品の補充も前日に行われます。まず、ケース自動保管システム「マルチシャトル」に一時保管された商品を出庫し、自動搬送で歩行レスピッキングシステム「GTP」へ運ばれます。低頻度商品は1日の出荷数量が少ないため、オリコンに振り分けて量を調整します。GTPでは、作業内容が画面に表示されるため、誰でも画面に従って正確に作業が行えます。夕方、ラインが止まった後には冷凍ショーケースへ商品を運搬し、残り時間を有効活用して短時間で集中的に補充します。
低頻度商品のピッキングでは、冷凍ショーケースを活用して1ゾーンあたりのロケーション数を増やし、一人が複数のゾーンを担当することで、より少ない人数で効率的な運用が可能になりました。このように自動化を進めながら、最適な人員確保と作業割り当てを行うことで、無駄のないセンター運営が実現されています。
以前は完全に人手による運用だったため、作業者のスキルによって作業時間にばらつきがあり、高いスキルを持った作業者が多いときは早く終わる一方、そうでないときは大幅に時間がかかっていました。オイシックスの担当者様は『トーヨーカネツの仕組みを導入したことで生産性が安定し、このくらいの荷物量なら何時間で終わるといった計画を精度高く立てられるようになった』と語ります。
梱包エリアでは、箱の大きさに応じてエリアを3つに分類。出荷の9割を占める60・80サイズのラインでは「自動梱包」を採用しています。出荷箱はまず自動で組み立てられ、商品が入った循環箱と空の出荷箱が4箱ずつ、「自動移載機」へ搬送されます。循環箱は底板がない構造で、出荷箱の上からスライドさせることで商品が自動投入される仕組みです。投入後は出荷箱と循環箱をカメラで撮影し、空であることを自動監視することで、移載漏れを防止します。その後ドライアイスを投入し自動で封函されます。100サイズやイレギュラーな商品形状の場合は別ラインへ搬送され、手作業での梱包が行われます。
梱包を終えた商品は方面別に出荷ラインへと搬送され、カゴ車への積み付けが完了すると、予冷庫へと運ばれて出荷まで冷凍環境で一時保管。トラックが到着次第、随時積み込み、全国各地の会員さまのもとへと出荷されます。
お客様の声
センター開設から約1年が経過しました。ご提案いただいた仕組みをいれても、最後は運用に落ちないと意味がない。それに沿った設計や事前検収、最後のオペレーションへの落とし込みまで、一貫してご支援いただきサポート体制の部分で感謝しています。
冷凍センターの場合、かなり大規模な設備投資が必要となるため、投資回収するためには、野心的な省人化の計画が必要だった。そこに今回ご提案をいただいた数字は、我々の投資対効果としても十分なものでしたし、半年から1年たってみて、その計画値に対して、到達しているところは、我々の投資としても大きな意味があったと思っています。
今後は、各ご家庭で安心してご利用いただける冷凍商品のラインアップをさらに拡充させていきます。
私たちトーヨーカネツは、マテハンの安定稼働を通じて、Oisix様のサービスを、日本の食卓の喜びを、支えていきます。
※この内容は、2025年1月時点の内容です。