生活協同組合連合会ユーコープ事業連合 岡崎 淳様(総合企画本部生産物流部長)/ 遠州トラック株式会社 石川 健治様(関東事業部次長兼厚木要冷センター長)
課題
解決
導入経緯
1996年に稼働を始めた中津セットセンターは、その後の宅配事業の拡大により、集品総数が限界を迎え、そのまま稼働していれば2010年には完全にキャパオーバーとなってしまう。また、同センターの作業環境温度は15℃で、夏場に冷凍品を扱う際に品温管理上の問題がありました。
新セットセンターではアイテム数、特に冷凍アイテムの拡大に対応できる充分なライン数と徹底した温度管理が求められました。
そこで吉田ドライセットセンターで実績のある遠州トラック様に業務を委託。当連合の要冷セットセンター、商品検査センター、そして遠州トラック様の厚木要冷センターも兼ねた大型複合センター「森の里セットセンター」の竣工をめざしました。
選定理由
遠州トラック株式会社は、静岡での吉田ドライセットセンターなどを展開しています。そのセンターにトーヨーカネツソリューションズの設備が導入されており、堅実に稼働してきた実績がありました。また、ユーコープ事業連合様でも同様にトーヨーカネツソリューションズと長いつきあいがあり、互いに流通事業を展開してきたノウハウの蓄積がありました。それを生かさない手はないということで、今回もトーヨーカネツソリューションズにお願いすることにしました。
今回、生産管理の面で新しいシステムを構築したかったため、試行錯誤のスタートでした。そんな時、トーヨーカネツソリューションズの担当者は、打合せをしていても、こちらが気づかない点をたくさんの指摘くださり、提案いただけるので、非常に信頼できるパートナーと考えております。また、職人気質の技術者がいらっしゃり、何事にも手を抜かない姿勢が、システムをまかせする側として安心できました。
導入後の効果
「森の里セットセンター」は、旧センターの3倍の広さとなる、1層約3000坪で3建ての広さを確保。3方向を山に囲まれ、正面に大山が見える、絶好のロケーションです。まず、ライン数が4ラインから6ラインへ増加し、集品能力が2倍になりました。扱いアイテム数も230点から350点に拡大、現状では毎日280点ほどの商品を扱っています。冷蔵、冷凍食品を扱うセンターですから、全館5℃を基調に、冷凍庫も増設しています。補充エリアは温度が変更でき、午前中は冷凍食品(0℃)、午後は冷蔵食品(5℃)に設定しています。各ラインの一部のゾーンの棚の最下部は-25℃の冷凍ショーケースとなっており、アイスクリームや干物など溶けやすい商品も問題なく集品できるようになっています。
さまざまな機器が最新システムになり、機械の能力も格段に向上しました。トーヨーカネツソリューションズの提案で、①フィルム自動交換式のフィルムインサーター、②同様にバトンタッチ式のラベラー、③RFIDタグを活用した商品トレースシステム、④ビッグシッパー(冷凍ケース)とシッパー(冷蔵ケース)を共通でドーリーに積み付けできるネスタックシステム、⑤出荷直前にペレットドライアイスを冷凍品に自動計測投入できるペレット自動投入機など、ユーコープの中で初めての試みとなる画期的なシステムが導入されました。
本稼働して10ヶ月ほど経ちますが、これといったトラブルが無いことが本当に素晴らしいと感じています。またこのセンターの温度管理システムは設計から施工までトーヨーカネツソリューションズさんにお願をしました。2010年の夏は暑く、長かったですが、品温に関するトラブルもありませんでした。ラインの温度管理や、配置のプランがよかったからだと実感しております。
今後の展望
現在、集品ラインの能力が大変よい数値となっています。想定されたオーダーピッチ(ケース1個あたり、商品を詰めるのに何秒かかるかという数値)は冷凍ですと9割、つまり10%能力が上がっているということです。これは、非常に喜ばしいことです。
このセンターの設計値は集品点数年間1億5千万点(初年度計画1億3百万点)。消費行動が縮小傾向にある今、宅配事業もどこまで伸びるか、将来を楽観できないのも事実です。流通機構自体が大きく変化する可能性もあります。現在、当センターは非常によい稼働を見せているので、この状態を維持していくとともに、ここでのノウハウを次の世代に生かして、さらによいものを作っていきたいと考えています。
※この記事内容は2010年12月に取材した内容を元に構成しています。記事内における数値データ、組織名、役職などは取材時のものです。