小売・卸
課題
解決
導入経緯
2021年2月に稼働を開始した資生堂・西日本物流センター。近畿エリアに点在していた、機能の異なる3つのセンターを統合し、新設された工場に隣接させることで、サプライチェーンの最適化を目指しました。このセンターの機能として近畿および中国・四国エリアの各得意先へ商品を出荷しています。
課題は、得意先へ安定的に当日納品を行うこと。
以前のセンターでは、物量の増加に合わせて多くの作業員を投入することで、どうにか当日納品を実現していました。こうした課題を解決するために、物流現場の効率化を飛躍的に高める出荷システム「GP3」を導入しました。
GP3の中心となるのは、ケース自動保管システム「マルチシャトル」です。
この設備の両側に作業ステーションを配置し、製函機・封緘機などと組み合わせることで出荷業務を行います。従来バラ品のピッキングは人が歩き回り商品を探していましたが、GP3では必要な商品が作業者の手元へ届くので、ピッキングとパッキングを一か所で同時に行うことができます。これがGP3の最大の特徴です。
まず、隣接する工場から、商品箱に同じ商品が満載された状態で入荷され、そのまま次々とマルチシャトルへと入庫されます。製函機で出荷段ボールが自動的に組み立てられ、同様にマルチシャトルへと入庫されます。マルチシャトルの内部には、大量の商品箱と出荷段ボールが一時的に保管され、出荷指示が出るとマルチシャトルの順立て出庫機能を活用し、高速でシャトルカーとリフタが動き自動的に出庫されます。順次各ステーションへと搬送されます。作業に必要なものがタイムリーに供給されるので、作業者はその場にいるだけで、歩かずに作業ができます。
また、作業者にわかりやすいよう順番にも配慮しました。
大小2種類の出荷段ボールのうち、内容量に応じて最適なものが自動搬送され、そのあと商品が順次運ばれてきます。商品の順番は梱包がしやすいように大きなものが先に搬送されるように設定されています。作業者が行うのは、スキャンを繰り返しながら画面の指示に従い、商品箱から出荷段ボールへ商品を移し替えていくだけです。投入ミスを防ぐためパッケージ写真も表示しています。ピッキングとパッキングが同じ場所でできるので、従来のカートピッキングが一切不要となり、既存の運用では、ピッキングとパッキングなどで2重・3重検品を行っており、 2人・3人とヘッドカウントが必要でしたが、このGP3では1人ですべてを完結することで効率化・省人化を実現しました。
商品を投入後、出荷段ボールは封緘機へ自動搬送。内容量に応じてフィットした高さに自動調整され、最適なサイズで封入されます。最後にオートラベラで出荷ラベルを自動貼付し発送準備の完了です。GP3の導入により、即日納品に余裕をもって遂行する体制を確立しました。
また、トーヨーカネツとともに、より使いやすい作業ステーションの構築にも取り組みました。装置類の高さを作業者の好みに応じて調節できるようにしたのも、その一環です。
GP3のもう1つの大きな特徴はコンパクトさです。シャトル内のものを横移動できるRapid Passを採用することで、従来荷揃えのために必要だった、外部の煩雑なコンベヤが不要となり、大幅な省スペース化を実現しました。
2フロアをまたいでGP3を設置することで、さらにコンパクト設計を実現しました。
今後の展望
このセンターは、未来の物流を探るためのフラッグシップセンター。
最新鋭の機械を導入し、効率化・自動化を目指しているため、きちんとした運用を行いながら、将来に向けての技術開発も合わせてできればと考えています。 その第一弾としてマルチシャトル上部のスペースを活用し、ピッキングロボットの設置を計画中です。視野の先にあるのは、新技術の他拠点への横展開です。GP3もしかりですが、ソリューションとしてのベストプラクティスとして、日本国内の他拠点だけではなくグローバルに展開できればと考えています。
※この記事内容は2021年10月に取材した内容を元に構成しています。記事内における数値データなどは取材時のものです。