課題
解決
導入経緯
2023年、株式会社ハローズ様は香川県坂出市に「坂出ロジスティクスセンター」を開設しました。ハローズ様は、中国・四国・近畿エリアで24時間営業のスーパーマーケットを展開しており、今後の出店拡大を見据えた物流体制の強化が課題となっていました。
開設以前は、常温・冷蔵・冷凍の商品を3つの各拠点から全店舗へ供給されていましたが、これには瀬戸大橋を含む高速道路通行料などの物流コスト増が伴い、さらには既存拠点だけでは商品供給能力の不足が見込まれていました。
こうした背景から、効率的な運用と高い作業生産性を実現する新たな物流拠点として、業界初となる3温度帯対応の自社物流センター「坂出ロジスティクスセンター」が誕生しました。
坂出ロジスティクスセンターの延床面積は、約28,000平方メートル。常温・冷蔵・冷凍の各エリアで自動化された設備を導入しています。
常温エリアでは、主に飲料や菓子類などのケース品を取り扱っています。
1階にはケース入庫ラインやケース出荷仕分けソータ、パレットラックを配置。2階にはセンターの中核となるケース自動保管システム「マルチシャトル」と「自動倉庫」を採用。入荷から出荷までの工程は自動化され、無人運用が実現されています。
メーカーから搬入された商品は、1階の入庫ラインに載せられると、オートラベラで自動的に入庫ラベルが貼付され、コンベヤで2階のケース自動倉庫へ搬送・格納されます。10アイルにスタッカークレーン10台を備え、最大54,950ケースを保管可能な高効率な倉庫です。
出荷準備のため自動倉庫から出庫された該当ケースは、配送先店舗の出荷ラベルが貼られ、荷合わせのためマルチシャトルに一時格納。入庫前にはラベルのチェックとケースサイズが計測され、チェック済のケースのみが入庫。不具合のあるケースは別ルートで1階に戻されます。このマルチシャトルは、3アイル構成で最大6,384ケースの保管が可能です。入庫と出庫を同時に行うタンデムレイアウトにより、3箇所のリフタで効率的な順立て出庫を実現しています。
商品は配送時間に合わせてマルチシャトルから出庫され、Vポジソータにより店舗ごとに仕分けられます。仕分け作業は現在1日33店舗分に対応しており、作業者は出荷ラインから流れてきた商品をカゴ車へ積み込み、ハンディターミナルで検品後、出荷待機場所へ運ばれます。
このように、無人・自動化を徹底した構成により、省人化と作業効率向上を両立。さらに、マルチシャトルの活用により、将来的な店舗数増加にも対応可能です(最大60店舗対応設計)。
各機器間の搬送には、トーヨーカネツ独自の「エコロベヤ」を採用。ケースのある部分のみが駆動することで電力消費を抑えるほか、前詰め制御の高精度化を実現しています。さらに、ローラピッチの狭いモデルを採用し、ケースの破損や炭酸飲料の破裂リスクを最小限に抑えています。
冷凍食品を扱う冷凍エリアでは、パレット単位で商品が搬入され、マイナス25度環境に設置した、パレット自動倉庫に保管されます(最大2,016パレット対応)。ケース出庫の際は該当のケースが積まれたパレットが自動倉庫から出庫。そこから必要なケースのみを取り出し、ラベル貼付後に冷凍仕分けラインへ搬送。カゴ車への積み込みと検品を行い、冷蔵商品と一緒に出荷されます。
ライン構成をシンプルにすることで、必要最小限のオペレーションで省人化と作業効率を実現しています。
今後の展望
各種システムの連携により、坂出ロジスティクスセンターの作業生産性は大きく向上しました。これにより、四国内の物流効率化だけでなく、地域全体での出店加速の原動力となっています。
ハローズ様は、安全・安心・安価な商品を安定的に供給し、最適化された物流構築を目指しています。
⻑期ビジョンである⻄⽇本5,000億円構想実現の向けて、トーヨーカネツは今後も幅広い技術力とノウハウを活かした総合エンジニアリング力で、ハローズ様の事業成長を力強くサポートしてまいります。
※この記事内容は2025年3月時点でのものです。