Logistics Report DXで物流課題に挑む

「止めない物流」は新たな社会インフラトーヨーカネツ「予知保全サービス」スタート

急成長するEC(電子商取引)市場拡大に対応し、いまや重要な社会インフラとなった物流。その中核である物流センターの構築で豊富な実績を持つトーヨーカネツは、物流センターの省人化、省力化だけでなく、ソーシャルディスタンスの確保を実現する物流ソリューションを提供している。このたび物流センターの安定稼働を支える予知保全サービスによって「止めない物流」を実現。画期的な物流ソリューションを通して社会課題の解決に挑む同社の現在とビジョンを探る。

ソーシャルディスタンスを確保するウィズコロナ対応ソリューション

作業員のエリアはソーシャルディスタンスの確保をいち早く実現

新型コロナウイルス感染拡大下でもECの爆発的な成長が続き、物流需要は急速に伸びている。一方、少子高齢化により労働人口が減少する中、労働環境の改善や効率化が遅れた物流センターでは担い手が減少し、社会インフラとなった物流が危機的状況に陥っている。さらに新たな課題として、災害による物流機能の寸断、「3密」となりやすい物流センター内での感染症リスクなどに備えたBCP(事業継続計画)への対応も待ったなしの状況だ。

トーヨーカネツはこうした社会課題を解決する物流ソリューションを提供する。従来の労働集約型の物流センターに自動化、機械化、による省人化と効率化を提案し、物流品質と生産性の向上に貢献してきた。代表的な技術がGTP(Goods to Person:歩行レスピッキング)だ。同社の主力製品であるマルチシャトルを使い、出荷オーダーに応じた商品を順番に出庫し荷合わせする。人が商品を取りに行かず、商品がピッカーまで運ばれてくるGTPは省人化、効率化を図る物流センターを大きく進化させている。

GTPを導入した物流センターでは作業負荷が軽減し、作業員が働くピッキングエリアは独立ステーションになっているため、ウイルス感染対策として有効なソーシャルディスタンスの確保と高い隔離性を実現。ウィズコロナ時代の社会様式に対応した物流センターの構築でもGTPが果たす役割は大きい。

予知保全サービスによる「止めない物流」 大手総合電子メーカー導入へ

物流センターは安定稼働においてもさらなる進化が求められている。これまで機械設備の保全で一般に行われてきたのが、トラブル発生後に対応する「事後保全」、あるいは定期点検の際に状況を見て部品交換などを行う「予防保全」だ。その常識と限界の突破に挑んだトーヨーカネツは、「止めない物流」を合言葉に、最新のAI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)を使って故障の兆候を予知する「予知保全」の技術開発に取り組んだ。

開発の主課題となったのが精度が高く既存設備にも容易に設置可能なセンサーだ。機械の確実な異常を検知するために、単なる収集データの差異による異常判断ではなく、AIの機械学習により高度にモデル化された正常時データとの比較で異常データを検出する方式を採用。さらに物流機器を熟知した技術と経験を生かし、高性能、高信頼の無線通信を使った低コストでハイパフォーマンスの予知保全向けIoTセンサーを開発。新開発したIoTセンサーを使用し、設備の稼働状況の見える化や異常予知を行うことで部品交換時期などの最適化が図れる「予知保全サービス」によって「止めない物流」が実現可能となった。

予知保全サービスは4月にリリースされ、早くも大手総合電子部品メーカーへの導入が決まった。

予知保全サービスの仕組み

設備の稼働中に負荷のかかる可動部の繊細な振動変化を検知。
そのデータを機械学習で解析して故障の兆しを察知しアラームを配信する。

イメージ図
実装
機能
1常時監視機能 24時間365日、物流機器に設置したセンサーデータをAIが監視
2異常発報機能 監視データから異常を検出した場合、最適な交換タイミングを通知
3オンライン機能 監視データをインターネット経由でクラウドにアップロード(オプション)
4見える化機能 監視状態、データをいつでも、どこでも、確認可能
5レポーティング機能 メンテナンス履歴、予兆監視、傾向分析をレポーティング

デジタルトランスフォーメーションで物流センターにさらなる進化を

予知保全サービスの開発に見られる通り、トーヨーカネツは物流センターのデジタルトランスフォーメーション(DX)に積極的に取り組んでいる。同社のDX戦略について柳川社長は、「ウィズコロナ時代に突入し、当社の取り組みは従来以上に大きな意義を持ちます」と語る。現在注力するのが、物流センターのレイアウトと人の動線に実際の作業データである入出庫・保管データを加味し最適配置を導き出す物流センター全体の効率化と、更なる非接触作業の拡大を図るGTR(Goods to Robot:ロボットピック)の開発だ。扱う商品によっては物流センターの完全自動化も可能になるという。

また、DXはSDGs(持続可能な開発目標)の達成でも重要性を増し、「当社は統合報告書『TKKレポート』において環境負荷軽減、労働人口激減への対応を最も重要な社会課題と定義し、その解決に新技術の開発を通じて貢献します」と語る。取り組みの一例が、運用方法がメーカー各社で異なるAGV(Automatic Guided Vehicle:無人搬送ロボット)を統合コントロールする制御プラットフォームの開発だ。コンベヤレスシステムへの移行で、環境変化への対応が容易に実現できる。

柳川社長は、「コンベヤで成長してきた当社が脱コンベヤも視野に入れた新技術、新事業に挑みます。社会の変化に対応できる物流の基盤づくりが当社の使命。物流のソリューションイノベーターとして最先端の知を結集し、DXの成果を社会に届けていきたい」と決意を語る。物流センターを進化させ、危機的状況にある物流の未来を切り開くトーヨーカネツに期待したい。