課題
解決
導入経緯
2022年3月に本格稼働を開始した、ナリコマフード 神戸セントラルキッチン。
全国の福祉施設・病院に向けて給食サービスを提供するナリコマフード様が、新たに建設した介護食の専用工場です。ナリコマフード様では、これまで普通食を全国各地の工場で生産し、介護食はそのうちの2つの工場で生産してきました。神戸工場(神戸セントラルキッチン)の新設に伴い、介護食の生産を1つの工場に集約しましたが、これにより神戸工場の仕分けには大きな課題が生じました。1つ目は、全国分の介護食を一手に引き受けるため、膨大な仕分け作業の効率化が求められること。
2つ目は、施設ごとの仕分けだけでなく、朝食、昼食など、食事の区分を行った上での納品が絶対条件であり、間違った商品を配送すれば食物アレルギーや誤嚥を招くなど、命に係わる可能性もあるため、仕分けミスが絶対に許されないことでした。
工場内の仕分けエリアは、2つの設備で構成されています。商品の保管・供給を行う「マルチシャトル」、供給された商品の集品を行う2つの集品ライン「スーパーピックディレクターシステム(以下SPD)」です。
商品は、仕分けエリアとは別の衛生管理と自動化を徹底したフロアで生産されます。充填後、商品を番重(ばんじゅう)と呼ばれる薄型コンテナに乗せ、垂直搬送機で生産フロアから仕分け・出荷フロアへと搬送されます。
仕分けエリアでは、まず番重を識別するバーコードを読み取り、高い入出庫能力と省スペースを実現したケース自動保管システム「マルチシャトル」に格納されます。徹底した温度管理をすることで、商品の品質維持に配慮しています。
集品計画にあわせて、マルチシャトルのシャトルカーが番重を順次ピックアップし、補充ビークルが該当するロケーションに補充していきます。通常は人の手で行う補充作業を完全自動化することで、省人化を推進しました。
集品ラインは、棚から商品をピッキングして集品する「SPD」を導入しました。集品作業は、まずRFIDが取り付けられた循環箱がフィルムインサータに搬送され、袋掛けを行うと同時にRFIDに新しいオーダ情報を書き込みます。集品コンベヤへと搬送する直前にRFIDに書かれたオーダ情報を読み取り、発進する順番をチェックしています。
投入ミスの撲滅のために採用したのは、SPDを活用した自動投入装置です。SPDの集品ラインでは、集品情報に基づいてピッキングする商品の表示器が点滅し数量が表示されるため、作業者はその指示に従い迷うことなく商品をピッキングできます。
また、自動投入装置上で重量チェックも行っています。先行してピッキングした商品は、順次移動し該当の循環箱が来ると自動的に投入されます。このように、投入プロセスを自動化することで生産性が大幅に向上し、さらに既存の工場で課題となっていた人的仕分けミスがほぼゼロになりました。
現場では、作業がシンプルなため新人を採用した際もすぐに即戦力として活躍できるという点や、労働負荷が少ないため早期離職の防止につながるという点が評価されています。ラインの稼働中もマルチシャトルはフル稼働で、補充棚の在庫数をリアルタイムで把握し、自動的に出庫します。ピッキングする商品の不足が起きないようにビークルが随時補充。安定した在庫確保により、効率的な集品作業を支えます。
集品完了後、商品が投入された袋は結束機で袋とじされます。最後に寄せのエリアへ運ばれ、出荷オリコンに袋を詰め合わせます。発送先ごとにドーリに段積みされたオリコンは、全国各地のお客さまにお届けするため、各工場へと配送されていきます。
今後の展望
現在、神戸工場ではソフト食だけを生産していますが、今後はすべての介護食の生産を神戸工場だけで行っていく予定です。「ご高齢者の皆さまに美味しいお食事を通して、食べる喜び、生きる喜びを感じていただきたい」というナリコマフード様の想いを確実に届けるため、私たちトーヨーカネツは、最先端のマテハンシステムで支援を続け、高い出荷精度、安定供給の実現を通して、日本の食を支える一助となれるよう今後とも努めてまいります。
※この記事内容は2022年9月に取材した内容を元に構成しています。記事内における数値データなどは取材時のものです。